職場のハラスメント撲滅月間 「許されない」と理念明記検討(厚労省)

職場でのハラスメントは、働く人がその能力を十分に発揮する妨げになるだけでなく、個人の尊厳や人権を不当に傷つける、決して許されない行為です。さらに、企業にとっても、職場の秩序を乱し業務に支障をきたすだけでなく、大切な人材を失う原因となり、社会的な評価にも悪影響を及ぼす可能性があります。こうした問題を解消するため、厚生労働省は12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを目指した集中的な広報・啓発活動を展開しています。

また、厚生労働省は、職場でのハラスメント(嫌がらせ)を根絶するため、労働施策総合推進法の改正を検討しています。これにより、企業に義務付けているセクハラやパワハラなどの4つの主要なハラスメントに加え、すべてのハラスメントが「許されない」という理念を明記する方針です。具体的な義務や罰則は設けないものの、社会全体でハラスメントを許さない風潮を醸成することを目的としています。
近年、4つの主要なハラスメントの類型に当てはまらないケースが問題視されることが増えています。こうした状況を受け、ハラスメント防止の取り組みを強化するため、基本的な理念を明確にする必要があると判断されました。来年の通常国会で法改正案を提出することを目指しています。
今回の改正で対象とするのは、従来の4類型に加え、顧客からの理不尽な要求によるカスタマーハラスメント(カスハラ)や、就職活動中の学生に対するセクハラなどです。労働施策総合推進法には「ハラスメント全般は許されない」という趣旨が盛り込まれる見込みです。
一方で、職場でのあらゆる行為が過剰にハラスメントと見なされる可能性についても懸念されています。そのため、労働者と企業双方が参加する労働政策審議会で、今後、改正の具体的な内容を慎重に議論していく予定です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45734.html