女性管理職比率の公表 2026年4月から義務化
厚生労働省は、女性の管理職比率と男女の賃金差異の公表義付けを2026年4月から実施します。対象企業を非上場を含む従業員数101人以上とする女性活躍推進法改正案の、通常国会への提出を目指します。女性の管理職比率の公表義務は新設、男女の賃金差異の公表義務は対象企業が拡大されます。
厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によれば、、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は12.7%と、前回調査(令和4年度12.7%)と同率、係長相当職以上の管理職等に占める女性の割合は15.1%と、前回調査(同14.7%)より0.4ポイント上昇しましたが、近年大きな変化は見られません。
日本の女性管理職比率が低い要因として、以下のものが考えられます。
・働き続けられる環境の未整備:出産・育児などのライフイベントと仕事の両立を支援する制度や環境が十分に整っておらず、女性が管理職を目指すことをためらう要因となっている
・長時間労働の慣習:管理職は長時間労働になる傾向が強く、育児との両立が難しいため、女性は昇進を諦めることが多い。
・育休復帰後のキャリア形成の難しさ:育児休業を取得した女性の多くが、復帰後に責任のある仕事から外され、管理職登用の道が狭くなる。
・家事・育児負担の偏り:女性が男性よりも多くの時間を育児や家事に費やしており、仕事との両立が難しくなっている。
・性別役割分担意識の根強さ:「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方が一部で根強く、女性のキャリア形成の障壁となっている。
このような現状の中で、女性管理職比率の公表義務化は、企業の透明性を高め、ジェンダー平等の推進を促進するために重要です。これにより、企業は自社の現状を把握し、改善策を講じるきっかけとなります。また、投資家や求職者に対して企業の多様性への取り組みを示すことで、企業価値の向上にも寄与します。女性活躍推進に積極的な企業としての評価が高まり、優秀な人材の確保や顧客からの信頼獲得につながります。また、多様な視点や意見が取り入れられることで、イノベーションの促進や意思決定の質の向上が期待できます。
今回の義務化により、従業員101人以上の企業は女性活躍の取り組みを可視化し、推進を加速させています。大企業は環境整備を進め、優秀な人材の確保に一層力を入れていきます。一方で、従業員101人未満の中小企業は、女性が働きやすい環境を整えなければ、人材確保がより困難になる可能性があります。特に優秀な女性人材が大企業へ流れるリスクを考えると、中小企業こそ積極的に女性活躍を推進することが重要です。
女性管理職比率の公表義務化は、単なる規制強化ではなく企業の成長のための大きなチャンスでもあります。中小企業こそ、この流れを受けて、女性が活躍しやすい環境を整えることで、優秀な人材を確保し、企業の競争力を高めなければなりません。
自社の現状を見直し、どのような取り組みができるかを考え、積極的に改革を進めることが、今後の企業経営のカギとなるでしょう。