出生数68.6万人・出生率1.15 9年連続で過去最低
2024年の日本の出生数が68万6,061人となり、ついに70万人を下回ったことが、厚生労働省の「人口動態統計月報年計(概数)」により明らかになりました。これは、国の推計よりも14年も早いペースで少子化が進行しているという、非常に深刻な事態です。
出生数は9年連続で減少し、合計特殊出生率も1.15と過去最低を記録。社会保障制度の土台である「現役世代が高齢者を支える構造」は今、大きく揺らぎ始めています。
■ 少子化が意味する未来
少子化は、ただ単に「子どもが少なくなる」という問題にとどまりません。将来的な労働力人口の減少、消費市場の縮小、そして年金・医療・介護といった社会保障制度の持続性にも大きな影響を及ぼします。
現に、2024年の自然増減数(出生数-死亡数)はマイナス91万9,237人と過去最大の減少幅。このままのペースが続けば、日本経済の基盤そのものが縮小しかねません。
■ 若者の経済的不安と結婚・出産の壁
専門家の間では、少子化の背景として「若者の経済的な不安定さ」が指摘されています。非正規雇用や低賃金といった雇用環境により、結婚や子どもを持つ選択ができない若者が増えています。
「最低賃金の引き上げ」「住宅支援」「子育て支援のさらなる充実」など、若年層の経済基盤を下支えする政策が、今後ますます重要になってくるでしょう。
■ 地方における働き方と少子化の関係
都市部だけでなく、地方でも少子化は進行しています。共働きが一般化する中で、地方では「女性が出産後も働き続けられる職場環境」が十分に整っていないケースも多く見られます。
「子育てと仕事の両立が可能な雇用環境づくり」は、企業がこれからの人材確保や地域貢献を考えるうえでも欠かせない視点です。
■ 社会保険労務士としてできること
私たち社会保険労務士が果たすべき役割も、これまで以上に重要になってきています。たとえば…
- 育児休業制度の整備・運用支援
- 子育て支援制度の導入や規程改定のアドバイス
- 両立支援等助成金の活用提案
- 「くるみん認定」取得のサポート
- 職場風土の見直し・管理職の意識改革
- 柔軟な働き方(テレワーク・短時間勤務など)の導入支援
など、企業が「子育て世代にやさしい職場づくり」に取り組むための具体的な支援を行うことが可能です。
■ 最後に
少子化は国全体の課題であると同時に、企業経営にも直結する現実です。人材確保がますます難しくなる中、今こそ「働きやすさ」「両立支援」を本気で考えるタイミングです。
私たちも、現場の企業とともに課題を共有し、実効性ある支援を行ってまいります。
<令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況>
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai24/index.html