同一労働同一賃金「施行後5年見直し」の論点
先日、第24回労働政策審議会職業安定分科会・雇用環境均等分科会の「同一労働同一賃金部会」が開かれ、同一労働同一賃金の施行後5年見直しに関する論点(案)がひととおり出揃いました。
政府は、2025年2月からガイドライン見直しの検討を進めており、今回までの議論を通じて「今後の方向性」が徐々に明らかになってきています。
主な検討項目
部会で整理された論点は、大きく4つの分野に分けられています。
1. パートタイム・有期雇用労働法に関する見直し
- 均等・均衡待遇の徹底
- 待遇に関する説明義務
- 公正な評価制度
- 労働者の意見反映
- 情報公開の促進
- 行政による履行確保
2. 労働者派遣法に関する見直し
- 均等・均衡待遇
- 待遇説明義務
- 公正な評価
- 未経験者登用や業務高度化
- 派遣労働者の声の反映
- 情報公開の促進
- 行政の履行確保
3. 同一労働同一賃金ガイドラインに関する見直し
- 裁判例を踏まえた内容追加
- 正社員人材確保論の追記
- 下級審判決への対応
- 通常労働者の待遇引下げによる相違解消の是非
- 「その他の事情」の明確化
- 多様な正社員や無期雇用労働者への適用拡大
- 趣旨の明確化・わかりやすさ向上
4. 正社員転換支援・キャリアアップ施策
- 非正規から正社員への転換支援
- 多様な正社員制度の普及
- キャリアアップの促進
企業への影響
今回の見直しは、単なる法改正にとどまらず、「非正規雇用の処遇改善」や「正社員転換の推進」を強く意識したものになっています。特に、ガイドラインに新たに追加される見直しポイントは、企業の賃金制度や評価制度に直接関わる可能性が高く、今後の労務管理に大きな影響を与えることが予想されます。
今後のポイント
- 同一労働同一賃金の施行から5年、制度の運用状況を踏まえた見直しが本格化。
- パート・有期雇用、派遣労働者の待遇改善に加え、正社員転換やキャリアアップも重要テーマ。
- 今後は裁判例やガイドラインの改正が企業実務に直結していく見込み。
働き方改革の流れの中で、「正規・非正規の不合理な待遇差解消」は避けて通れないテーマです。
今後の改正動向を注視しつつ、企業側も早めに人事・賃金制度の点検を進めることが求められます。
ご相談は当事務所へ
「同一労働同一賃金」や「非正規雇用の待遇改善」「人事制度の見直し」に関してお悩みの企業さまは、ぜひ当事務所にご相談ください。
最新の法改正動向を踏まえ、企業の成長と従業員の働きやすさを両立する労務管理をサポートいたします。