「カスハラ・就活セクハラ」指針案のポイント

先日開催されました、労働政策審議会・雇用環境・均等分科会において、カスタマーハラスメント(カスハラ)や就職活動中のセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)に関する新たな指針の骨子案が示されました。
働く人を取り巻くハラスメント問題が多様化する中で、事業主にはより具体的な対応が求められています。
今回は、その主な内容をまとめました。

【カスタマーハラスメント(カスハラ)】とは?

顧客や取引先からの暴言・過剰な要求など、社会通念上許容される範囲を超えた言動によって労働者の就業環境が害される行為を指します。正当なクレームや要望は含まれませんが、行き過ぎた対応要求や威圧的な言動は「カスハラ」に該当します。

指針で示される主な内容

  • 定義の明確化:派遣社員も含む「労働者」、潜在的な顧客も含む「顧客等」の範囲を整理
  • 事業主の責務:従業員を守るための体制整備や方針の明確化
  • 必要な対応措置
    1. 方針の明確化と周知・啓発
    2. 相談体制の整備
    3. 被害発生時の迅速な対応(事実確認・被害者ケア・再発防止)
    4. 抑止のための社内施策
    5. プライバシー保護・不利益取扱いの禁止

 また、他の事業主との連携や、取引先・関係先への働きかけも求められています。

【就活等セクシュアルハラスメント】とは?

就職活動中の学生や求職者に対して、企業側の労働者が性的な言動を行い、その活動を妨げる行為が対象です。面接やインターンシップなど、職場内外を問わず発生するケースが想定されています。

指針で示される主な内容

  • 「求職活動等セクハラ」の定義と具体例
  • 面談時のルール設定や相談体制整備の必要性
  • 被害発生時の迅速・適切な対応(事実確認・行為者への措置・再発防止)
  • 相談者のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止

さらに、求職活動中に発生するパワーハラスメントに類する行為も検討対象とされています。

今後の動きと今後の企業対応

この分科会では、今後次のような改正・対応も進められる見込みです。

  • 均等法施行規則に「求職者等」の定義を追加
  • 「プラチナえるぼし認定」の要件に、求職者向けセクハラ防止措置の公表を追加
  • 「自爆営業」がパワハラに該当する場合があることをパワハラ指針に明記
  • カスハラ指針等の整備に伴う省令改正

令和8年(2026年)1月〜4月頃に諮問が予定されており、事業主としては今のうちから体制整備や社内ルールの見直しを進めておくことが重要です。

まとめ:ハラスメント対策は「後手」ではなく「予防」が鍵

今回の骨子案からも分かる通り、ハラスメント防止は「法令遵守」だけでなく、従業員の安心・信頼につながる組織づくりの基盤として位置づけられています。「カスハラ対策」「就活セクハラ防止」「社内相談体制の整備」など、自社の現状に合わせた仕組みづくりが求められます。

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指針案の詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
第85回労働政策審議会雇用環境・均等分科会|厚生労働省