50人未満の事業場も義務化へ「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」
はじめに
厚生労働省より「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」が公表されました。
これまで従業員50人未満の事業場では「努力義務」とされていたストレスチェックですが、令和7年の安衛法改正により、いよいよ義務化へのカウントダウンが始まっています(公布後3年以内に施行予定)。
「うちは人数が少ないからまだ先でいい」と考えるのは禁物です。なぜなら、小規模事業場には特有の「プライバシー保護」という高いハードルがあるからです。今回のマニュアルを紐解きながら、今から準備すべきポイントを解説します。
なぜ「小規模事業場専用」のマニュアルが必要なのか?
従来のストレスチェック制度は、産業医がいるような中大規模な組織を前提に設計されていました。
しかし、人との距離が近い小規模な職場では、「誰が高ストレス判定を受けたか」「誰が面接を希望したか」といった機微な情報が周囲に漏れやすいという深刻なリスクがあります。
これを防ぎ、労働者が安心して受検できる環境を整えるために、今回のマニュアルでは「外部委託」を強く推奨する内容となっています。
従来のマニュアルとの違い
今回のマニュアルで注目すべきは、新設された「外部委託ではなく自社で実施する場合の留意点」です。
厚生労働省が示すモデル規程(ルール作り)においても、従来の50人以上向けマニュアルと比較すると、そのスタンスの違いは一目瞭然です。
比較:実施体制のモデルケース
| 項目 | 従来(50人以上)のモデル | 小規模事業場向けモデル |
| 実施主体 | 会社の産業医や保健師が中心 | 外部機関への委託を前提 |
| 実施者 | 社内の産業医等を選任 | 委託先の医師・保健師等 |
| 事務従事者 | 衛生管理者や総務担当者 | 委託先の担当者 |
| 面接指導 | 会社の産業医が実施 | 外部の医師に依頼 |
このように、社内の人間が健康情報に直接触れる機会を極力排除し、「外部の専門家」がクッションとなる体制が標準とされています。
マニュアルの構成内容
全8章から成る本マニュアルは、準備から事後措置まで網羅されています。
- 実施に向けた準備
- 体制・方法の決定
- ストレスチェックの実施
- 医師による面接指導と事後措置
- 集団分析・職場環境の改善
- 労働者のプライバシー保護
- 不利益な取扱いの禁止
- 自社実施時の注意点(重要)
特に巻末資料には、外部委託を前提とした「実施規程(モデル例)」や「サービス内容事前説明書」が含まれており、実務ですぐに活用できる構成になっています。
早期準備」のススメ
小規模事業場において、メンタルヘルス対策を成功させる鍵は「従業員との信頼関係」です。
「会社に知られるのではないか」という不安がある状態では、正確な結果は得られません。あえて外部委託を基本とする体制を整えることは、「会社は社員のプライバシーを最優先に考えている」という強力なメッセージになります。
施行直前になって慌てて形だけ整えるのではなく、マニュアルに基づいた「実効性のある体制」を今から検討し、社員の安心感と生産性の向上につなげていきましょう。
詳細資料はこちら(厚生労働省サイト)

