【令和8年度】雇用保険料の引き下げと女性活躍推進法の強化

令和8年度の改正は「企業の透明性」と「労働力の確保」がカギ

令和8年4月より、雇用保険料の改定や女性活躍推進法の対象拡大など、実務に直結する重要な制度変更が順次施行されます。
今回の改正の背景には、少子高齢化に伴う深刻な人手不足と、女性を含めた多様な人材が活躍できる環境づくりの加速があります。企業にとっては「コスト(保険料)の変動」と「情報公表という社会的責任」の両面で対応が求められます。特に事業主の皆様が押さえておくべき主要な4つのポイントを解説します。

1. 雇用保険料率の引き下げ

今回の改正で最も多くの企業に影響するのが、雇用保険料率の変更です。

  • 改定内容: 失業等給付に係る保険料率が0.1%引き下げ
  • 新料率: 合計 13.5/1,000(労働者:5.0 / 事業主:8.5)

わずかな差に思えますが、積算すると人件費コストの適正化につながります。4月以降の給与計算において、計算ソフトの設定変更や控除額の間違いがないよう、早めの確認が必要です。

2. 女性活躍推進法の義務化対象が拡大(101人以上の企業)

これまで努力義務や大規模企業のみが対象だった項目が、従業員数101人以上の事業主にも義務付けられます。

  • 男女間賃金差異の公表: 給与の格差状況を可視化し公表する必要があります。
  • 女性管理職比率の公表: 組織における多様性の指標として公表が必須となります。

これにより、中堅規模の企業も「選ばれる会社」であるためのデータ開示が求められるようになります。採用力の強化という観点からも、単なる義務としてではなく、自社の強みをアピールする機会と捉えるべきでしょう。

3. 在職老齢年金制度の見直し(シニア活用のチャンス)

働きながら年金を受給するシニア世代にとって、非常に大きな追い風となる改正です。

  • 支給停止基準: 51万円(令和7年度)→ 65万円(令和8年度)へ引き上げ

これまでは「稼ぎすぎると年金が減らされる」という懸念から就業時間を抑えていた層が、より意欲的に働ける環境が整います。シニア層の貴重なスキルを最大限に活用したい企業にとって、朗報といえる変更です。

4. 国民年金・年金額の引き上げ

物価や賃金の変動を反映し、年金額および国民年金保険料も改定されます。

  • 国民年金保険料: 月額 17,920円
  • 老齢基礎年金(満額): 昭和31年4月2日以降生まれの方は月額 70,608円(1.9%増)

個人のライフプランに関わる変更ですが、従業員からの問い合わせが増えることも予想されます。最新の数字を把握しておくことは、福利厚生の相談窓口としての信頼構築に繋がります。

変化を「信頼」に変えるために

今回の制度変更は、一見すると事務負担の増加に見えますが、その本質は「透明性の高い経営」と「シニア・女性の活躍推進」にあります。
「法改正だから対応する」という姿勢を超えて、なぜこの変更が必要なのかを理解し、社内体制を整えることで、従業員や求職者からの信頼はより強固なものになります。
具体的な手続きや社内規定の改定、システム対応についてご不明な点がございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。


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