9月1日から時間外労働の監督指導の運用が変わります
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2026年9月1日より、厚生労働省が時間外労働(残業)に関する相談・支援体制と、労働基準監督署による監督指導のやり方を見直します。「日本成長戦略」および「経済財政運営と改革の基本方針2026」(いずれも2026年7月21日閣議決定)を踏まえた対応で、36協定を締結している企業には関係が深い内容です。
何が変わるのか
今回の見直しは大きく2つの柱があります。
1. 36協定に関する相談・支援の充実
全国の働き方改革推進支援センターに「専門相談窓口」が新設され、36協定や特別条項の締結、フレックスタイム制などの柔軟な労働時間制度の活用について相談できるようになります。また、支援センターと労働基準監督署(労働時間相談・支援班)がチームを組み、36協定の締結に関する訪問支援(アウトリーチ)も行われます。よろず支援拠点や商工会議所とも連携し、労務相談だけでなく経営課題まで含めて相談できる体制が整えられる予定です。
2. 労働基準監督署における監督指導の見直し
これまでは、時間外・休日労働時間数が月45時間以内かどうかという「時間数」だけに着目した一律の指導が中心でした。今後は、各事業場が36協定で定めている「健康・福祉を確保するための措置」(一般的には医師の面談指導、代替休暇の付与、勤務間インターバルの確保などが挙げられます)が実際に運用されているかを重点的に確認し、その状況に応じた指導が行われます。ただし、過重労働による健康障害のおそれが高いと判断される場合は、引き続き厳格な指導が行われる方針です。
数字で見る現状
直近の監督指導結果(令和6年度)
- 監督指導を実施した26,512事業場のうち、42.4%にあたる11,230事業場で違法な時間外労働が確認されました
- そのうち約50%(48.7%)は、最も長い労働者の時間外・休日労働が月80時間(いわゆる過労死ライン)を超えていました
- 実施事業場全体の48.6%にあたる12,890事業場が「健康障害防止措置が不十分」として改善の指導を受けています
令和4年度から令和6年度までの3年間を見ても、違法な時間外労働があったものは42〜45%程度、健康障害防止措置が不十分で指導を受けたものは40〜50%程度で推移しており、いずれの年も相当数の事業場が該当しています。今回の監督指導見直しは、こうした実態を踏まえ、時間数だけでなく健康・福祉確保措置の実施状況を重点的に確認する方向へ運用を変えるものです。(令和7年度分の結果はまだ公表されていません。)
企業が今のうちに確認しておきたいこと
1. 36協定・特別条項の記載内容の見直し
上限時間だけでなく、健康・福祉確保措置の項目が実態に合っているか確認しましょう。
2. 健康・福祉確保措置が「書類上」だけになっていないか
協定に記載していても、実際に運用されていなければ指導の対象になります。運用実績を確認しておくと安心です。
3. 労働時間の把握方法の再確認
自己申告制のみに頼っている場合は、タイムカードやPCログなど客観的な記録との突合ができているか、一般的な労務管理の観点から見直しておくと安心です。
4. 柔軟な労働時間制度の活用を検討している場合は、新設の相談窓口を活用
フレックスタイム制や変形労働時間制の導入を考えている企業は、今回新設される専門相談窓口や訪問支援を利用するのも一つの方法です。
ご相談はお気軽に
36協定・特別条項の見直しや、健康・福祉確保措置の設計・運用体制づくりについて、当事務所でもご相談を承っております。
「協定書は作ったけれど運用が曖昧」といったケースは特に注意が必要ですので、この機会にぜひお問い合わせください。
※本記事は2026年8月時点の厚生労働省発表に基づいています。詳細は厚生労働省の該当ページ(時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します)でもご確認ください。


